logo sp
JA
福島県
双葉町
search
sharereport

双葉町訪問記その3 震災を生き抜いた奇跡の洋館

2026/07/10

 双葉駅の近くにおしゃれな洋館があります。1922年頃に建てられた木造2階建ての旧三宮堂田中医院診療所です。双葉駅前の旧陸前浜街道沿いに位置し、外壁のモルタル掻落しや玄関ポーチなど、大正時代のレトロな洋風建築の趣を今に残す町のシンボル的な存在です。現在は、国の登録有形文化財に指定されています。

 長年、地域の頼れるお医者さんとして親しまれましたが、時代の変化とともに閉院。その後はご家族の住居となります。

 このあたりは津波の被害は免れ、大地震の強い揺れで、建物の屋根瓦や外壁のモルタルが一部崩れ落ちたものの、建物の骨組み自体は崩壊せず持ちこたえました。大正時代の洋風建築は、伝統的な日本家屋の技術と洋風のトラス構造などが融合し、揺れに対して独自の強度を持つといわれています。

 ところが、福島第一原発事故に伴い、双葉町は全町避難となりました。住人のいない建物は通常であれば急速に劣化が進みます。周辺には、解体を余儀なくされた建物も多くあります。しかし、この建物は奇跡的に致命的な構造破壊を免れ、持ちこたえ続けました。

 実は震災前(2011年)から町は文化財登録の準備を進めていましたが、原発事故によりすべての調査がストップしてしまいます。

 2017年、建物があるエリアが「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」に指定されたことで、集中的な除染とインフラ整備が進められることになりました。

 これにより、11年半にわたり立ち入りが制限されていたエリアでの文化財調査がようやく再開されました。調査の結果、震災の傷跡はあるものの「大正時代の趣を遺す貴重な和洋折衷建築」としての価値が改めて認められ、改修と保存活用を前提に、2022年の登録へと繋がりました。

 町は、復興交付金を活用し、URの技術的な支援も受けながら、改修工事を進め、2023年6月に工事完成。

 まさに、全町避難による時間の停止と風化の危機を乗り越え「震災を生き抜いた建築物としての強さ」と「町の復興計画」が噛み合ったからこそ残された奇跡の洋館と言えます。

 現在は、町の委託を受けて、一般社団法人ふたばプロジェクトが運営を担い、移住検討者や一般の来訪者が気軽に入れる「双葉町移住定住相談センター」や交流スペースとして開放されています。

 営業日時と基本情報

 ・営業時間: 平日 9:00 〜 17:00

 ・休業日: 土曜日、日曜日、祝日、年末年始

 ・入館料: 無料

 ・電話番号: 080-1752-9353

 ・アクセス: JR常磐線「双葉駅」から徒歩2分

事前の予約は必要ありません。開館時間内であれば直接現地を訪れ、リノベーションされた大正ロマンあふれる旧診察室や、住民との交流スペースを自由に見学・利用できます。

 

2026年1月22日に、こちらの洋館に「ふたばプロジェクト」さんをお尋ねし、お話を伺うことができました。そのときの様子は次回の記事で。

#福島県ホープツーリズム