JA
Slide 1
Slide 2
Slide 3
Slide 4
Slide 5
Slide 6
Slide 7
Slide 8
Slide 9
Slide 10
Slide 11
Slide 12
Slide 13
Slide 14

佐久13蔵

Information

山々の稜線が朝の光を受け、澄みきった空気のなかに、白い湯気がすっと立ちのぼる。

ここは、八ヶ岳、蓼科山、浅間山に抱かれ、千曲川の最上流を擁する信州・佐久。

晴天率が高く、冷涼な気候に恵まれたこの高原の地は、清らかな伏流水と良質な米が育つ、まさに酒造りの理想郷です。

旅人がこの地を訪れてまず心を奪われるのは、景色の美しさだけではありません。

風土そのものが、酒の香りとなって漂ってくるような、静かで贅沢な気配です。

 

佐久地域には、個性豊かな十三の酒蔵が点在しています。

 

小諸の城下町に息づく大塚酒造の「浅間嶽」、佐久の広々とした空の下で土地の恵みを映す千曲錦酒造の「千曲錦」、凛とした冬の気配を名に宿す戸塚酒造の「寒竹」、山里の余韻を美しく映す古屋酒造店の「深山桜」。

蔵の名を追いながら道をゆけば、景色が少しずつ変わり、盃の印象もまた表情を変えていきます。酒を味わうことは、この土地の光や風、四季の色を味わうことなのだと、佐久の旅はそっと教えてくれます。

 

さらに、歴史の奥行きを感じさせる武重本家酒造の「御園竹」、信州の物語をやわらかく語るような大澤酒造の「信濃のかたりべ」、深みと気品をあわせ持つ土屋酒造店の「亀の海」、祝祭の気配をまとって華やぐ芙蓉酒造の「金宝芙蓉」も、この地の大切な風景です。

清流のほとりに咲く花を思わせる伴野酒造の「澤乃花」、春のはじまりを告げる声のように軽やかな木内醸造の「初鶯」もまた、佐久という土地の繊細な表情を映しています。

蔵ごとに趣は違っても、どの一杯にも、山の水と高原の空気、そして人の手のぬくもりが宿っています。

旅の終盤に出会いたいのは、時を重ねた蔵の風格です。橘倉酒造の「菊秀」は、磨き抜かれた端正さで旅人の背筋をすっと伸ばし、佐久の花酒造の「佐久の花」は、その名のとおり、この土地そのものを可憐に、まっすぐに咲かせます。南佐久へ足を延ばせば、黒澤酒造の「井筒長」が、山あいの時間をゆっくりと溶かし込んだような、落ち着いた余韻で迎えてくれるでしょう。名水の里、宿場町の面影、蔵の白壁、古い町並み、そして冬の朝のきりりとした空気。佐久の酒は、飲むたびにその情景を胸の奥へ連れ帰らせてくれます。

 

この地の魅力は、十三蔵がただ並び立っているだけではないことです。

 

佐久の蔵元たちは「SAKU13」として結び合い、毎年ひとつの酒を協同で仕込む取り組みも続けています。競い合いながら、土地の誇りを分かち合う。その姿は、旅先で出会う風景や人のあたたかさにもよく似ています。

どの蔵を訪ねても、迎えてくれるのは単なる商品ではなく、この地で醸されてきた時間そのもの。だからこそ佐久の酒めぐりは、飲み歩きでは終わりません。山の稜線を眺め、町を歩き、蔵の息づかいにふれながら、その土地にしかない物語をひとつずつ受け取っていく旅になるのです。

 

佐久を旅するなら、ぜひ一蔵だけで満足せず、十三の個性を心の地図に描くように巡ってみてください。

 

浅間の気配を映す一杯も、千曲川の流れを思わせる一杯も、花の名を冠した優美な一杯も、いずれもこの地の風土からしか生まれないかけがえのない味わいです。

盃を傾けるたび、景色が深まり、土地が近づく。信州佐久の十三蔵は、酒蔵である前に、旅情そのものなのかもしれません。

 

次の休日は、胸に残る一杯を探しに、香り立つ佐久へ。山の水が、きっとあなたの旅を豊かにしてくれます。